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犬が傾塞を発症する率は人間よりも低いことは確かだ。
だがそれはビタミンCのせいでは決してない。 犬の暮らし方によるのである。
犬はタバコを吸わないし、酒も飲まない。 そのうえよく運動し、消化器官が肉食に合うようにできている。

事実かどうか暖昧であっても、主張が中途半端であっても、新製品のビタミン剤を販売するためにはなりふり構わない。 とにかく売りまくる。
大企業でさえも、スイスの巨大薬品企業H社の健康事典『ラ・H・ミニ事典』に、次のようにある。 「ビタミンとは、生体が自分で作ることができない、生命に不可欠の物質である」生物の教師も生徒に機械的に唱えさせているが、真実に変わるはずもない。
実際には、人間の身体は十分にビタミンを作ることができるのである。 ただしそれには、ときどき日光浴をする必要がある。
それからもビタミンDは合成されている。 ナイアシンやパントテン酸といったそのほかのビタミンも、食事で補えない場合は生体が柔軟に反応し、自動的に欠乏症を予防する。
したがって、人間の身体が独力でビタミンを作り出せないという説は誤りである。 は独自のビタミン源があり、一部は内因性物質から、一部は共生している腸内菌から作り出せる。
ただし必須の栄養素が含まれた、価値の高いさまざまな食品をいつも食べていればの話である。 ビタミンの多くは非常に壊れやすく、短時間に消失してしまうので、工場製食品の場合は、での長距離輸送中にほとんど失われたり、あるいは、工場内で加工中に完全に壊れてしまう。
ビタミンCは、多くの果物や野菜に含まれている。 加工食品には特別に添加されることも多い。
ビタミンCは熱と光にきわめて弱い。 たとえばジャガイモだと、日の当たるところに四週間放置しておくと、元来含まれていたビタミンCは七五パーセントも失われてしまうという。

寒い季節に風邪予防のために熱いレモンティーを飲めば、それでビタミンCが補給できるなどと期待しないほうがよい。 ビタミンCが豊富なため「北国のレモン」といわれるジャガイモをせっせと食べている人も、マッシユポテトは自分で作ったほうがよい。
工場製マッシュポテトは、ビタミンC含有量が自家製の半分しハンブルクでの実験で証明されている。 ビタミンが豊富に含まれていても、それが有効な作用を発揮できるかというと、必ずしもそうではビタミンが仕事を始めるためには、別の物質が必要だからである。
セレンや亜鉛などのミネラルと一緒になると、フリーラジカルを捕捉するために最高のはたらきをする。 そのうえにスポーツをしたり、よく身体を動かしたりすれば、身体はいっそう丈夫になる。
フラボノイドなどの植物二次代謝産物は、ビタミンのはたらきを活性化させることが知られている。 ビタミンは単独で能力を発揮するのではなく、ほかの物質と組み合わせることで効力を発揮するので、その有効性はほかの物質が存在してこそ成り立つ。
だから、ビタミンが錠剤や粉末の形で単独で補給されても、期待する効果がいつも現れるとは限らない。 ビタミンを単独で、しかも不自然な方法で摂取すると、その性質は一変する。
ビタミン自体が危険なフリーラジカルになることさえある。 ビタミンBの多くは、別のビタミンBによって補酵素として活性型に変えられた時にだけ作用し、そうでない場合は便や尿と一緒に排植されてしまい、体内で利用されることはない。
したがって、ビタミンB群の中の一種類だけしか含まない製剤を服用しても、ほとんど意味がない。 このグループのビタミンは仲間の助けなしにははたらくことができないだけでなく、単独で用いると害を及ぼすことさえある。
生体が異物としてこれを処理しなければならなくなり、健康のリスク因子になるのである。 ビタミンB群を組み合わせた製剤を次々と市場に送り込んでいる。

だが、個々のビタミンをどのくらいの割合で組み合わせれば有効に作用するのかとなると、今日の研究水準ではまだはっきりした答えが出ていない。 そこで各メーカーは自社の調合基準を頑固に押し通してい「ビオヴィット・ビタミンB複合」にはチアミンとリボフラビンが同量含まれているが、「ブリヨノンB複合」にはチアミンが明らかに多く含まれている。
「テートフィット・ビタミンB複合」にはリボフラビンとピリドキシンが同量、「B複合フォルテ・ヘヴェルト」にはリボフラビンはまったく入っていない。 企業の実験室は科学的知識に基づいて調合しているのではなく、勝手気ままにやっているだけだ。
天然の食品の場合はそうではない。 ビタミンBは単独で存在することはなく、それぞれが相互に協力しあって機能を果たしている。
人間もそのほかの生き物も、単独のビタミンBだけでは役に立たないからである。 したがって、ビタミンB群を食事を通じて自然の方法で摂取するほうが、錠剤や注射ビタミンが生化学的に活性化される可能性ははるかに大きい。
で摂るよりも、ビタミンB群はすべて水溶性である。 そして人間の身体は大部分が水でできている。
その水の割合は年齢に応じて異なり、高齢の女性では四六パーセント、礼児の場合は七〇パーセントといわれている。 言い換えると、ビタミンB群は水に溶ける性質があるので、体内のどこででも活性化できる。
ビタミンに関する文献を読んでみると、まったく違った説明をしている。 意外にも、ビタミンB群の水溶性を欠点としてあげている。
水溶性ビタミンは体内に蓄積されず、ただちに尿と一緒に排植されるとしている。 調理の際に煮汁の中に溶け出してしまうので、失われやすいともある。
水溶性のビタミンB群は化学的に敏感なので、添加物や錠剤で、できれば毎日摂取するのが最もよいと主張しているのである。 ところが、ビタミンB群は、そのほかの栄養素と比べても調理の際に失われる量はずっと少ない。

ビタミン払やビオチンは、脂溶性ビタミンのDやEより、光に対して安定性があるし、ビタミンFは、ビタミンKと同じく、熱に非常に強い。 また、数日間ビタミンB群を摂らなかったからといって、すぐに身体を壊す心配はない。
身体にはいつでも使えるビタミンB群の備蓄がある。 とくにビタミンFの備蓄は非常に多く、人間は何年間もビタミンFの少ない食事を摂っても大丈夫なようにできている。
それによって身体機能の低下や、体調を崩すことなどありえない。 このように、身体は必要な原料をほどよく補給すれば、必要な量のビタミンを自分で調達できる。
しかしこのシステムは、過剰摂取した場合にバランスを崩すことになる。 実際のところ、強い抵抗力免疫システムを例にあげよう。
微生物が体内に侵入すると病気になる。 その場合、病気と闘いそれを克服する体力があるかないかが重要になる。

こんなことは現代ではだれでも知っている。 だが免疫防衛が発見され周知の事実になっても、人々は免疫システムを改善するために、運動を増やしたり、喫煙を減らしたり、定期的にクナイプ療法を行い、水の中で足をパシャパシャやったりすることはない。
その代わりに、製剤をたくさん買い込み、薬の力で免疫システムを強化しようと躍起になる。 しかも、エキナセアなどの薬草を用いるのではなく、ビタミン剤に頼るのだ。
免疫システムがビタミンの守備範囲にあることはまちがいない。